J.M.WESTONMarch.22nd.2008 |
J.M.WESTON
「カジュアルな格好が好きでも、靴だけは良いものを履きなさい」と母からいつも言われていた。当時、若い頃は写真を目指し職業写真家となりスーツなど着る機会はほとんどなかった。リーバイス501にナイキやニューバランスといったmade in USAのスニーカーがあれば十分だったわけだ。初めてのパリで泊まったプチ・ホテルのすぐ近くにあったJ.M.ウェストンのショーウインドのなかを視るまでは。
家人とお揃いのUチップ・シューズ
お店に入ってみるとソファに座るように言われた。店員が僕の足を丁寧に揉みほぐす。マッサージかと思っていたらどうやらサイズを測っているようだ。その後「任せなさい」という感じで軽く人差し指を立て地下室に降りていく。いくつかの靴を持ってきてポケットから小型の靴べらを取り出しシュポッと右足に入れてくれた。ジャストサイズだった。そして気がついた時はあまりの心地良さに4足購入していた。
Serge girardi
当時、パリではブラックリーバイスに黒や茶のウェストンのローファーを合わせていた。迷ったら両方買うという家風のなかで育った私は、迷わず黒と茶、両方を手に入れた。ローファーは1200fr(1fr=22円前後)だった。ディタックスを申請すればさらにオフされる。それからパリにでかける度、ウェストンで靴を購入することが恒例となる。
パリに住む、フレンチボーグなどで活躍しているスタイリストのセルジュによるとJMウェストンの靴はあくまでカジュアルで、フォーマルにはエルメス(ジョン・ロブ)の靴を合わせると話していた。
ウェストンの靴は、150以上の行程が必要とされるグッドイヤー製法で創られているのでとても丈夫だ。丁寧に創られデザイン的に優れている靴は世界を見渡せばたくさんある。もはやウェストンも高級ブランド靴になってしまったが、初めて手に入れた当時はサンジェルマンにある店内で中学生の息子のために購入している母子連れを見たりしたものである。