Dark ROOM

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更新日 2010-11-06 | 作成日 2008-03-03

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フォコマートとフィリップ・サルーン

パリには何度もでかけているのだが、ある冬の光が少ない時期、福岡在アマチュア写真家H氏夫妻とパリでお会いした。そのH氏がロベール・ドアノーの写真も伸ばしているプリンター、フィリップ・サルーン氏の仕事場を訪ねるというので、ご一緒させてもらった。

f01.jpgフィリップ・サルーン氏


サルーン氏は笑顔で出迎え、気持ちよく暗室を案内してくれた。引き伸ばし機として、ブローニーフイルムではオメガを、35mmはフォコマート1cカラーを使われている。
フォコマートには私も興味があったのでいろいろと質問したのだが「秘密にすることなど何も無いよ」と丁寧に答え説明してくれた。

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暗室のなかはきれいに整頓されていた。現像、定着、乾燥と彼なりの方法を順序立てて教えていただき、興奮と感動が入り交じった頭に叩き込んだ。


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その後,彼のアシスタント含め全員でサルーン氏の馴染みのカフェに行き、ランチまでご馳走になった。お昼のワインとカフェ料理、とても美味しくいただきました。この場でもお礼を言いたい。
彼の仕事場から運河沿いを10分ほど歩いたところにそのカフェはあるのだけど、「この建物は、アッジェが撮影した当時のまま残っているんだよ」と教えてくれたりと、楽しい道行きだった。そのとき、50mmレンズを着けた古いペンタックスのカメラが彼の肩に掛けられているのに気づいた。
サルーン氏自身もモノクロの写真を撮っていて、いつもカメラを持ち歩いているということだった。彼は日本で写真展を開催されたこともある。
彼の息子(20代前半?)が一緒だったのでモノクロが好きな私はこんなことを聞いてみた。「モノクロの写真は古いという人が日本にはいるが、あなたたちの世代ではどのようにとらえている?」
「モノクロ写真が古いという感覚はないですよ。確かに技法として昔からあったわけだけど、モノクロで良い写真というのは今でもいっぱいありますからね」
ごもっとも。

今、私の小さな暗室にはフォコマートが置いてある。ネガを差し込みプリントするとき、必ずサルーン氏の笑顔を思い出す。
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