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*Life with M-LEICA style*

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更新日 2010-11-06 | 作成日 2008-03-03

Summilux-M35mmf1.4/1st

LEICA-M.Lens

1960年フォトキナで発表された後、寿命が長く30年以上販売されたレンズである。カナダライツで設計された5群7枚構成のガウスタイプだが、長期間作られたのでM3用、M2用というだけでなくいろいろなバリエーションが存在する。

初期のモデルは、前面外形が少し大きく41mmのフィルター径だが、シリアルナンバー2166700からフード12504に内蔵して使うシリーズ7に変わった。コーティングの時代による変化やインフィニティ・ストッパー(無限遠ロック)の廃止、レバーの変更など細かいバリエーションがあるが、レンズ設計・構成は同様のままである。

Aperture stop f1.4

Summilux-M35mmf1.4/1stの魅力

手元にあるレンズの番号は#2347840。ストッパー・アタッチメントがついた2ndモデルである。当時シーベル・ヘグナーでOHも済ませ問題はまったくない。以前340万代ドイツ製である最終モデルと写りを比較検討したことがあったが、色乗り、解像力等で違いはなかった。ここで問題といえば球面ズミルックスーM35mmf1.4レンズ特有の資質にある。

選ぶ絞りによって画質、描写の変化がとても大きく、絞り解放では、コマ収差、フレア、ゴーストのオンパレードになり、1眼レフのファインダーを覗くように眼で確認できないだけ、悪魔のようなレンズである。F1.4という明るさを実現していて魔眼という割には、レンズ外観は小さく、小悪魔のようなという方がらしいのかもしれない。

summilux1406.jpgsummilux1406b.jpgsummilux1406c.jpg


百万都市福岡のなかで楽園ともいえる能古の島にて絞り解放で撮る。夕方の柔らかな光を繊細に再現している。絞り解放では少々周辺光量が落ちるが、柔らかさと繊細さを併せ持つ魔力の前では、どうでも良いことのように思えてしまう。そう思わせてしまうところにこのレンズの小悪魔性が潜んでいるようだ。光源がレンズ内に作用しないよう細心の注意を払えば、クセ玉、ダメレンズという1面は現れないどころか、「当たり玉だ」と勘違いしてニヤニヤしてしまう恐れもある。

驚異的な明るさを誇るノクティルクス-M50mmf1.0と同じカナダライツの設計、製作なので中心部のコントラストの高さ、柔らかさなど似ている部分は多々あるようだ。生真面目なドイツ人魂を盛り込まれたものとは、ひと味違ったカナダ製ライカレンズというのが面白い。

Aperture stop f5.6

1段絞るだけで、あれっというくらい小悪魔性が影を秘そめる。f5.6まで絞り込んでいくと「これが同じレンズか?」と思うほど、きりりとしてくる。そのシャープ感に驚くが、けっして硬い描写にならないところが上品である。

summilux003am.jpgバリ島テガララン
バリ島ウブド郊外にある棚田が美しいテガラランにて絞りf5.6で撮影。バリ島には一時期ハマってしまい、3ヶ月の間に3回も行ってしまった。以来、数回でかけているが年々開発が進み、大型バスが行き来できるようにまで道路も整備されている。霊の存在を感じる貴重な島なので、そういう開発を苦々しく思ってはいるが、好きな島の1つであるのは今も変わらない。

光が豊富な状況で球面ズミルックス-M35f1.4をf5.6まで絞り込み撮影してみるとシャープさと同時に柔らかさが同居している。また繊細さを感じることもできれば、木の葉1枚1枚を描写する線の細さも解ると思う。加えて木樹の間を微かに吹き抜ける風の心地良さも伝わるだろう。鳥の囁きまで、、、は聞こえないか。
ちょっと褒め過ぎの感もあるが、小悪魔的コケティッシュには恥ずかしながら弱いのだ。

絞り解放でも絞り込んでもこのレンズが持っている柔らかさは表出してしまう。隠そうとしても色にでにけりということだ。順光であれば絞りにより画質の変化はあるにしても、けっして痛い?思いなどすることはないだろう。繰り返すが順光であれば、光源がレンズ内に入らなければ、の話である。レンズレポートでは歪曲収差も0.3%で、ほとんどない。と言ってよく優秀である。

Feature charm

EPSN0053.jpg居酒屋洗濯船
さて、ここでは絞り解放で止めどもなく現れる特徴ある収差、にじみなどを紹介しよう。 見ていただくと解ると思うが、夜景の撮影では必ず点光源が入ってくる。その光源のまわりにコマフレア独特のにじみを見ることができる。もっと強く明るい光源が入るようなことがあれば、豪快なゴーストも現れる。描写もコントラストはあるようだがボヤボヤとしてフラットだ。
よく云われるこのハイライトのにじみが、好き嫌い別れる理由のひとつであるようだ。


EPSN0187.jpg油山市民の森公園
昨秋のお昼間、薄曇りの空から溢れる柔らかな光のなか、福岡市内にある油山市民の森公園で残り少なくなった紅葉を絞り解放で撮影した。空にカメラを向け撮っているのだが、色のにじみが柔らかくふわふわとして美しい。トーンが豊富で所謂、溶けていくような立体感を感じることができる。


このようにズミルックス-M35mmf1.4の絞り解放と絞り込んだ時の写真再現性の違い、多面性が面白いと思えるかどうかがこのレンズの個人的評価を大きく変える。私はといえば、その多重人格的な小悪魔性をしっかりと楽しんでいる。

gry_Information.pngSummilux-M35mmf1.4/1st

Leica_RGB.jpgズミルックス-M35mmf1.4ほどダメレンズと烙印を押され不遇され続けたレンズは他にないだろう。その場の空気が写るという伝説がもはや神話化されたズミクロン-M35mmf2.0ファースト8枚玉と比べたら評価はひどいものだった。当然、価格もズミクロンより安く取引されていた。ノクティルクスの特徴ある写りに魅せられたへそ曲がりの私は、もしかしてダメレンズと云われている正にその部分が魅力なのではないか。と、つい手に入れてしまったが、今ではこのズミルックスとノクティルクスの2本が最も好きなレンズと胸を張って言い切れる。

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