Wrist WatchMarch.15th.2008 |
Rolex&Cartier
手元にあるお気に入り腕時計は、スポーツウオッチのロレックスとドレスウオッチであるカルティエの2種。どちらもムーブメントは機械式である。チクタク、チクタク遅れたり進んだりしながら時を刻んでくれている。時計についてはライカのように含蓄に富んでいるわけではなく、ここで蘊蓄話を披露するつもりはない。子細なことを知りたければカタログを見れば十分わかるからだ。
大学4回生の夏、アメリカの西海岸に渡航した。イーグルスのホテルカリフォルニアがヒットした70年代末だった。初めての海外だったが当時UCLA大学院でデザインを学んでいた友人N氏の誘いもあり、彼のアパートに居候しながら、卒業制作のため西海岸を撮影して回った。
長期間滞在後、コダクロームで撮った西海岸写真もある程度まとまったので、そろそろ帰国をと考えていたとき、貴金属店で働いている日本人から市価の40%オフでロレックス・サブマリーナというダイバーウオッチを新品で購入した。気に入り長年愛用したが40歳を迎えようというとき、後輩から是非譲って欲しいと懇願され、彼の持っていたエクスプローラーという新品のようにきれいなロレックスと交換した。私のサブマリーナは通称赤サブと云われ、レアで人気があったからである。
EXPLORERは探検家の意味。何故交換したかというと、シンプルなブラックフェイスが気に入ったのと私の腕にはダイバーウオッチが大きすぎるように感じていたからだ。後日知ったことだが、このエクスプローラーは1016と評判高いR880523番1989年販売された最終モデルで、しかも日本ロレックス社正規輸入品だった。保証書を読むと生涯半額でオーバーホールをしていただけるそうだ。
Cartierの長方形で手巻き腕時計が欲しかった。60年代フランスのフィルムノワールという暗黒映画シリーズでドロンやベルモンドに限らず登場人物たちは、黒い革ベルトのリストウオッチを着けていた。
コレクションプリベ・カルティエ・パリのタンクアビスPTという長ったらしい名前ではあるが、プラチナケースに入った限定品だ。
ギヨシェ彫りの美しい文字盤。そのシャープさとエレガントさを兼ね備えた気品に一目惚れ。最初に購入した友人F氏に探していただき、中古だが手に入れた。幸運にもカルティエジャパンの正規品で、無くならない限りメンテナンスは任せることができる。本来はカルティエ色バーガンディのベルトが着いていたが、オリジナルブラックのベルトに福岡のCartierで変えた。その後、サルサさんも同モデルを買われたので、私のまわりだけでも3つ存在する腕時計ということになる。
道具やメカニカルものは私なりの尺度で個数を決めている。使わない機械ほど不幸な存在は無い。とはいえ、人間である以上、舞い上がることも多々ある。そういう理由で高価なものを目にする時は少なくとも冷静さを失わないようにしている。私はコレクターではないからだ。