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*Life with M-LEICA style*

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更新日 2010-11-06 | 作成日 2008-03-03

Summicron-M35mmf2.0/1st-8elements

LEICA-M.Lens

1958年に発表されたこのレンズもカナダライツ独自の設計である。M3、M2用があるだけでなくM型、スクリューマウント・バルナック兼用モデルや、ブラックペイント、ブラッククローム、ホワイトクロームと、いろいろなバリエーションが存在する。レンズ構成は2群8枚ガウスタイプであることから通称8枚玉と呼ばれたりする。

ライツを代表する35mmレンズであると同時に神話化された写りに加えスタイルがよく、とても人気のあるレンズである。かく言う私も初めて手に入れたレンズはこのズミクロン-M35mmf2.0/1stである。フィルター径は39mm、フードは金属製でIROOA。外観に変わりはないがカナダ製とドイツ・ウェツラー製、両方のモデルがある。

Black&White

Summicron-M35mmf2.0/1st-8elements

上野にあるライカ専門店で手に入れたズミクロン-M35mmf2.0は、レンズ番号#204万代、ホワイトクロームでドイツ・ウェツラーの刻印があるものだった。まだ若かりし頃、写りがどうのこうのという前に、形が良く「ライカの歴史」という本でべた褒めされてある記事を読み、何の疑いもなくお店のスタッフのアドバイスに耳を傾け、外観、レンズ内部の美しさと、ヘリコイド、絞りの操作感のみ検討して購入した。

幸運にも30代のときバブルを迎え、財テクなどには興味がまったくなかった私は「郊外にハウス・スタジオを建てレンタルさせて」というような囁きには脇目も振らず、パリを目指した。
当時、3ヶ月仕事をして1ヶ月は海外に滞在できる余裕があったうえ、カメラを発明したフランス。カルティエ・ブレッソン、ドアノーが愛したパリ。この地をモノクロフィルムを入れたライカで撮影するのが、写真を愛する者にとって王道のように思えたからである。

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王道を突き進むにはライカ使いとしてライツの王道レンズ、ズミクロン-M35mmf2.0/1stを手に入れなくては、と思い至った経緯は十二分にお解りいただけると思う。何度も言うようであるが拘泥、思い込みの強さは他者には理解しがたく、また恐ろしく強い。そうして何度もでかけ撮影したパリの写真は、その強さに比例するかのようにどんどん増殖を重ね、パリ写真集として出版していただけたり、オートプロバンスに招かれディーニュという地方の本の製作に携わったりと貴重な経験をさせてもらった。

写真はすべて絞りf8.0前後を使い撮影したものであるが、見ての通りとても自然で素直な描写力。 コシはしっかりとしていて柔らかいという甘辛いみたいな相反する魅力的2面性を持っている。奥行き感もすばらしい。そして豊富なトーンで再現してくれたパリの写真に期待を裏切られたことは1度もない。

Color&Monochrome

このレンズを使いモノクロフィルムで撮ったパリ写真はたくさんあるけれど、ここでは冬のパリをコダクロームで撮影したものと同時期に撮ったモノクロ写真をエントリーしてみた。冬のパリはいつもどんよりした雲に覆われ寒さも厳しい。そのうえ朝9時でも薄暗く夕刻3時にはすでに街の灯に照らされている。

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私のお気に入りズミクロン-M35mmf2.0はシリアル204万代でレンズはアンバー色にコーティングされたものである。が唯一不満だったのは他のズミクロン8枚玉と比較すると、コーティングが薄かった。

その性かどうかは解らないけれど、カラーで撮ると色が淡いというか、薄いというか、特にコダクロームを使うと渋く発色した。これを良しとするかは本人次第だが、載せている写真の色は、見事に冬のパリ、ヨーロッパの冬を再現してくれている。こうなると、もはや自画自賛である。

多くのバリエーションがあり人気もあるので、外観の程度に合わせレンズが研磨されているものも少なからず存在するようだ。レアなブラックの8枚玉ともなるとプレミアがつき高額で取引されるため塗り替えられたものまである。そうなると個体差云々など言う前に、どのように取り扱われたものかが重要な気がする。本来の性能を維持している8枚玉であれば、解放絞りから安心して使うことができる。現行レンズに比べれば、ほんの少しコントラストが弱く感じるかもしれないし、よく云われているようにカラーで撮ると黄色味がかるかもしれないが、気にするほどでもなく、常用レンズとして活躍してくれるはずである。

Comparison

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ここでは、1時期手元にあった通称ツノ付き6枚玉ズミクロン-M35mmf2.0ドイツ・ウェツラー製と比較してみることにした。レンズ番号は239万代、カラーに対応したと云われレンズ構成が4群6枚となったと同時に外観も大きく変わった2ndモデルである。残念ながら人気のストッパー・アタッチメント(無限遠50ロック)は廃止された。

どれもベルビア50を使い、絞り解放で撮った写真である。明らかに2ndモデルの方が色濃く発色しているのが解るが1stより線が太いようだ。力強い描写の2ndに比べ1stは優しく素直で柔らかい。2線ボケの傾向はあるが、形を残しながら柔らかくボケていく様は眼に優しい。

そのように気に入っていた8枚玉だったが手放してしまった。家人や子供たちが私のアナログライカを使ってみようと思いついた頃は、もはやフイルムが無くなっているかもしれない。それにノクティルクス50mmやズミルックス35mmのような判りやすい癖ありレンズではないので素晴らしさ、面白さを伝えにくい。そうであるならば、残すより好んで使ってくれる方に譲るのが本筋と思い至ったからである。道具は道具であり物は物でしかなく、いくら気に入ったからとて冥土までは持っては行けない。

gry_Information.pngSummicron-M35mmf2.0


Leica_RGB.jpgライツオリジナルフードIROOAを着けたズミクロン-M35mmf2.0を見ると、その加工の美しさ、スタイルの良さ、うっとりとするような質感、に惚れ惚れするであろう。なんとシャッターを切る以前に、もはやメロメロ状態に陥ってしまう。加えて男は総じて美人を好むものである。中古でしか手に入らないこのレンズの美品、極上品、新品同様品など入荷話を聞くと、現金あるいはカードを握りしめ上京してまでも手に入れたくなってしまう。そしてこの衝動を抑えることは家人の力があったとしても容易ではない。ある意味そういうことを予感していた独身時代、私は上野にあるライカ専門店でこのレンズを購入した。

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