A FUKUOKA

Welcome to
TAKEI hidenori web site

*Life with M-LEICA style*

post00.jpg

| HOME | Monologue | A FUKUOKA |

更新日 2010-11-06 | 作成日 2008-03-03

A FUKUOKA

Monochrome

写真には色々な手法があり様々な機材が用意されている。そのなかでも好きな写真は、始めた時期に起因するのかモノクロームで撮られたものが多い。初めてのパリには「カラーフィルムも持って行けば」とのアドバイスもあったがライカとモノクロフィルムTRY-Xを数十本のみ持ってでかけた。プライベートで渡航するのだし、旅は身軽でというのが私の心情だからだ。

post02.jpg櫛田神社


写真を始めた学生時代はモノクロフィルムを使っての実習がほとんどだった。そして好きな写真家は、木村伊兵衛にアンリ・カルティエ=ブレッソン、ロベール・ドアノーなどである。仏文学に傾倒もしていたが、シニカルさを含んだユーモアなどに惹かれた。色彩を排除したモノクロの世界では、隅から隅まで写真のトーンの中を彷徨うがごとく読んでしまう。そうしてパリ写真は、私のもとに増え続けたが、福岡をモノクロームで撮ってみるのも面白いそうだと酒席で友人と盛り上がり、絵はがき・ポストカードという形態にして売ってみることにした。ここで一部を紹介するが10枚セットで1000部作り、すべて完売してしまった。
市美や本屋にも置いてもらったが、ある支配人に「今時、白黒なの?」と驚かれたことがある。そういう場合、説明したくなかったし説明しても理解が得られるとは思わなかったのでとりあえず置いていただけるようお願いした。半年くらいは時間がかかったが、とにかく全セット売れたことが嬉しい。


post03.jpgimg08.jpgpost04.jpg


福岡は町人、商人の町として栄えてきた。今でも九州を代表する都市だと言って異論はないだろう。市民は古いものを壊し新しいほど良いとする嗜好があるし、また飽きやすい性質も同時に併せ持っている。要するに観光地として成り立つ、旧跡とか遺跡、名所といわれるところが極端に少ない。そういう福岡の絵はがきを作ろうというのだから場所の選定にまず苦労した。そして決まったのは、能古の島、櫛田神社、貴賓館、大濠公園、福岡城、雁ノ巣海岸、福岡タワー、屋台、福岡ドーム、山の上から観た福岡の10カ所。10年以上前に撮った写真であるが、時間を超越して今も現存している場所ばかりである。機材はいつものようにライカM4とMレンズで撮影して、フィルムはTRY-Xを使用。それからイルフォードにプリントした。

私にとって写真道みたいなものはどうでも良いことだ。テストは重ねるが今だったらデジタルカメラを使いインクジェットのマシンでプリントアウトしているかもしれない。新しいテクノロジーで利用できるものはどんどん組み入れていく。選択肢は多いほど良いと考えているからだ。かけ声とともにみんなが同じ方向を進んでいくことほど創り手として愚かなことは無い。回帰するのは心地良さを伴うので勘違いしそうだが、その先は退屈が待っている。

hako2.jpgclaudia.jpg
友人Eと酒を酌み交わしながら作った絵はがきだが、モデルとして気持ちよく引き受け協力してくれたCさんに感謝している。時の流れは早いが、福岡の絵はがきポストカードを作った時間を今も端々まで記憶している。友人Eは高校時代の同級生だったが、私より先に彼岸へ旅立ってしまった。

gry_Information.png A FUKUOKA <monochrome>


Leica_RGB.jpg写真を撮り続けて30数年が経つ。その間、意味をどのように捉えるかによるが、作品を創ろうなどと思いシャッターを切ったことは1度も無い。私が撮ったのは仕事写真かプライベートの時間を費やした私事写真かのいずれかである。
モノクロームでのアナログ私事写真は好きだが、現在ではデジタルカメラで撮影しインクジェットプリンターを使うことも視野に入れるだろう。こだわりはあっても良いが、端的に言ってしまえば「写真はこのようであらねばならぬ」といったルールを作るのは愚の骨頂でしか無いと考えている。
monologue.gif

inserted by FC2 system