Summicron-M50mmf2.0/3rdLEICA-M.Lensカナダで新しく設計されたライツのニュージェネレーションレンズの1本である。1979年に登場したときはカナダで製造されていたが、後にドイツ製になった。鏡胴に軽合金が使われ重量は195gとズミクロンのなかでも軽量である。 第3世代と呼ばれるこのズミクロン-M50mmは、4群6枚構成でフードが内蔵された現行品まで受け継がれている。あらゆるところにコストダウン化が計られているが、合理的とも云える内容である。フィルター径は39mm、プラスチック製オリジナルフード12538が用意されている。 |
Paris B&W
Summicron-M50mmf2.0/3rd
最期に手に入れたズミクロン-M50mmf2.0はレンズ番号#344万代、3rdモデルではあるが、後期モデルであるため数少ないドイツ製である。オリジナルフードがプラスチック製であったり軽量なので、ある意味、チープ感をともなうがこのレンズから距離系調節レバーが復活した。以前のようにストッパー・アタッチメントは付いてはいないが、意外と使いやすい。
描写再現力は、さすがニュージェネレーションレンズ、コントラストが高く、とてもシャープである。現行品でも非球面化は施されていないが、F2.0の余裕もあるのか、必要性を感じない見事な写りである。意外にボケている部分の描写も素直に感じる。
パリ界隈のモノクローム写真では、コントラストが高いので光が豊富にある日、または季節においては、減感撮影で対応している。フィルムはコダックのTRI-Xを好んで使っているが、指定感度400を320で撮影して、現像時間をちょいと少なくする。TRI-X現像時、画像形成(ノリ)が早いので、けっして現像時間をオーバーさせてはならない。濃すぎるネガを作ってしまうと、コントラストを弱くしようとした意図から外れるし、加えてプリント時に手間がかかる。
テストを重ね、感度設定、現像時間などを自分の引き出しに入れておくことが重要だ。濃すぎるネガから時間を掛けて焼き付けハイライト部や暗部を滲ませるというプリントも作るコトができる。たくさんの引き出しを持つのが良いとは、今更言うまでもない。
Color
ニュージェネレーションレンズの1本であるズミクロン-M50mmf2.0/3rdモデルは、さすがに抜けが良く、スッキリとしたカラー再現力を持っている。色々な場所、季節、時間にコダクロームで撮った写真を並べてみた。
以前のレンズのように黄色味を感じることもなく、ニュートラルな発色を呈している。コントラストが高いとはいえ、暗部も潰れることなく再現している。同時にシャープさとのバランスがうまくとれているようで、F4.0〜f5.6の絞りでの細かなディテールの描写性能も良い。
こうしてみると、やはりモノクロームより、カラーフィルムでの再現性の方が勝っている感じである。とはいえ、コントラストの高さとシャープ感が特に目立っているが、絞り込んでも硬くならない描写には、さすがライカ・レンズと驚かされる。
この時代のレンズは、ライツ社からライカ社に変わる過度期に作られているのでコストダウンが計られた、軽量で、ある意味チープな外観なのだが、レンズ性能には目を見張るものがある。古いレンズではないうえ数も多く人気がないので、程度の良いものが格安で手に入る。ライカMレンズの中で、最もコストパフォーマンスが優れている標準レンズではないだろうか。
Example
ここではベルビア50を使い撮影したご近所散歩写真を並べてみた。彩度はスキャン時やデジタル処理で増減できるが、ノーマルでも色のヌケが良い。線が細く描写能力は、万能と言ってよい 。また特筆すべきは歪曲収差の少なさだろう。歪みをほとんど感じることがないし、0.7mまでピントが合うので、複写・接写など近接撮影に有利である。
ライカ製品は、値上げにつぐ値上げで、一般的に新品では手が届き難い存在になりつつある。それで程度の良い中古を探す。ということになるのだが、写真機材店だけでなくオークションなども利用することも視野に入れていいる。オークションにおいては相手の顔が見えない状況で、しかもクレームを入れることができない場合も多々ある。必要条件的要領がいるのだが、上手く利用すれば、どこよりも格安で気に入ったものを手に入れることができる。