Leitz.Focomat1C-color
モノクロ引き伸ばし機をフォコマート1Cカラーに代えた経緯は、Monologueに載せているのでここでは繰り返さないが、パリ在住プリンターであるフィリップサルーン氏の影響であちらこちらと探して購入した。それまではFujiやアメリカ製ベセラーなどを試して使っていたが、自動焦点式のフォコマート1cカラーと引き伸ばし専用レンズフォコター50mmf4.5の組み合わせを今でもいちばん気に入っている。
Leitz.Focomat1c-Color
この新品同様品の引き伸ばし機はオークションで手に入れた。必要の無い方には解り難いだろうが、ライカ使いとってレンズを1本増やすより効果ある正統な買い物である。このフォコマート1cカラーは支柱が長く台板が大きなプロ仕様であり、頑丈な造りで一度フォーカスセッティングをすれば、使っているうちに精度が狂うなんてことはまったくない。うれしいことにはサルーン氏が使っているものと同じタイプであった。
引き伸ばしランプはオスラム製が純正で指定されているが、もはや手に入り難く、私は消耗品であるためGE社のランプを使用している。加えてフォコマートV35散光式最終モデルとは違い集光式なのでメリハリのあるプリントを創ることができる。
この写真はジャン・ポール-グードがプロデュースしたパリ200年祭パレードをっ撮影したものだが、フォコマートのネガキャリアがフイルムのコマサイズよりほんの少しばかり大きいのでノートリミングでプリントすると写真のまわりに黒フチがでる。アンリ・カルティエ-ブレッソンの写真にも見ることができるように、写真家が作為的トリミングを施していないという強い意志と証でもある。モノクロのフイルムを入れたライカで写真を撮りフォコマートで引き延ばす。これこそデジタル時代においてもある意味正統派的使い方なのかもしれない。生憎、私は新し物好きの正統派嫌いなのでモノクロフィルムであってもスキャンしてMacに取り込みプリントアウトしたりと新しいテクノロジーを試し楽しんでいる。
モノクロ全盛末期に大学で学び、社会に出ることができたのは幸運だった。今までに撮った多くのモノクロネガとフォコマートを設置した小さな暗室は仕事場に現存している。デジタル時代になった今、デジカメで撮った新しい写真は明室でハードディスクの中に取り込みストックしているが、暗室を取り払うことができないのは、思い入れが勝っているからである。 |