Mercedes-BenzApril.8th.2008 |
Mercedes-Benz 300TDT
学生時代に乗っていたVWタイプ3には純正クーラーが付いていたが壊れていて生温い風しかでなかった。アメリカ西海岸maide in USAがブームで、設えたパイオニアのカセット・デッキからはEAGLESのThe New Kid in TownやRy Cooderの曲が流れ、三角窓から入ってくる風が心地良い気分にさせてくれた。独立して仕事を始めてからもVWビートルが好きで数台を乗り継いだ。年数が経ち、さすがに機材が増えワゴン系のクルマに代えようというとき、まわりではボルボのワゴンがブームで人気だったが、私の頭の中にはメルセデスの300TDTしか思い浮かばなかった。
アメリカの西海岸に渡航した70年代末から80年代前半にかけては、VWビートルの全盛時代だった。バハ・キットといって色々な種類のパーツが手に入ったし、何より今時のクルマと違いエンジンなどのチューンアップが簡単で可能であった。空冷水平対抗4気筒の小気味よいエンジン音とともに、0〜50mはシートに押さえつけられるような加速感を味わうことができる。
当然アメリカ西海岸でもフォルクスワーゲンはよく見かけた。居候していた友人もキャンパーというバスに似たモデルに乗っていて、ウェストウッドにあるUCLAへ送った後、夕方迎えに行くまでの時間を自由に使い写真を撮って回った。今でも板金屋泣かせと云われた頑丈な鉄板の厚さや、バタバタバタというエンジン音を懐かしく思い出す。
福岡ではメンテナンスの問題もあり学生時代からヤナセとお付き合いしている。それで当時はビートルであっても、当然ヤナセ仕様の中から気に入ったものを探した。ヤナセはどんなに古いモデルであっても、状態、程度がひどくても、自社から出したクルマをサービス・スタッフはイヤな顔1つ見せず修理してくれた。イザとなればバックアップしてくれるヤナセの存在は、気に入ったクルマに長く乗りたいという者にとり心強い味方となる。
メルセデス300TDTのヤナセ仕様となると希少で、1983〜84年の約2年間しか販売されていない。調べてみると200〜300台しかないようだ。そんななかあちらこちらに声をかけ探したけれど簡単には見つからなかった。
クロームのトリムラインが美しい。ラゲッジ・スペースがとても広くバリエーションで機材を収納できる。加えて登録は7人乗りと記載されていた。
TDTのエンジンにはターボ・チャージャーが付いていて、2500回転を過ぎたあたりからどか〜んと加速する。街中ではトロいがこのターボが効き出すと面白いほどの加速感を味わうことができる。探して半年以上が経ち,意外なところからこのクルマを手に入れた。
福岡市西区在住のコレクターが居てTD、並行輸入TDT、ヤナセ仕様TDTの3台を所有しているという。仲介者を通して聞いてもらうと「譲る気はない」とのこと。ここですぐ諦める私ではなく「言い値で良いから、、」と引き下がらない。結局、そのヤナセ仕様を手に入れたわけだが、他にBMW3.0CSも複数台持っているコレクターの手元からやってきたメルセデス300TDTは、メンテナンスをヤナセで受けながらも私の仕事を支え、長く仕えてくれた。
体調を崩し仕事から離れた今、日常クルマとしてE320に乗っている。動力部分他コンピューターで制御されるようになった現在、カメラと同じで新しいほど快適にできている。ライカM4ブラックペイントが好きだけど使うには現行ライカMP、デジタルライカM8でこれといった不満は無いという感覚に似ているようだ。