Tele-Elmarit-M90mmf2.8/2ndLEICA-M.Lens1974年に登場したテレ-エルマリート90mmf2.8の第2世代めのレンズ。後期はドイツで製造されているが、カナダライツ独自で新しく設計して販売されたものである。ファットモデルと云われた第1世代より105gも軽量化され重量は220gと小さく、細く、軽くというのを実現している。 レンズは4群4枚構成で、フィルター径は39mm。オリジナルフードはラバー製11250があるが、私は径が同じなのでエルマリート90mm用金属フードIUFOOを着けている。最短撮影距離は1mなのでちょっとした接写くらいは可能である。 |
Color
Tele-Elmarit-M90mmf2.8/2nd
レンジファインダー機であるライカM型で90mmレンズを使うチャンスは、私の場合ほとんどない。あのアンリ・カルティエ-ブレッソンでも「旅先では重すぎる」とパリに送り返した。という逸話が残っている。とはいえ、使いたいと思う時がないわけではない。そうなると軽くコンパクトな90mmがあれば欲しくなる。
私が持っていたのはシリアル番号300万代カナダライツ製のものだった。このレンズは人気があまりなく程度がすこぶる良いものでも、格安で手に入る。といって極端に能力が劣るかというとそんなことはない。ここで紹介している写真はすべて手持ちで撮影した。
とてもシャープな描写で絞り解放であってもコントラストが高い。レンズ番号も300万代を超えているので発色もきれいだ。f2.8の余裕なのか解放絞りから驚くほどの高画質。絞り込んでも被写界深度によるピントの合う幅が広がるだけで、画質の向上を眼で確認することはできない。
軽く小さいのでM4ボディに着けた時のバランスも良好である。絞り解放から安心して使えるので手持ちで撮ることができる。前述したようにコストパフォーマンスが良いのでお勧めできるライカレンズのなかの1本である。
Digital&Kodachrome
このレンズを使いデジタルライカM8で撮った写真とコダクロームで撮影したポートレートを載せてみた。デジタルでは6ビット加工もIRフィルターも使ってはいないが、十分と言えるほど撮影時を再現している。発色も私的には何の問題も感じない。
ポートレートはコダクロームを使いイングランドでコンパクトフラッシュ1灯をバウンスさせ絞りf4.0で撮影したものである。コダクロームの性質を引き出しながら、そのときの雰囲気を上手く再現している。
現行のアスフェリカルレンズのように派手ではないが濃密な発色をするのは意外であった。
外観が地味というよりはプアーに感じてしまうが、余りある能力には驚かされる。その性能のなかでいちばん目立っているのがシャープネスだ。使用頻度が少ないだけにコンパクトでよく写るというメリットはとても大きい。ただ内面反射の影響かどうかはわからないけれど強い逆入光に弱いようだ。それで私は付属の浅いラバー製フードではなく、1世代前の90、135mm兼用の黒い金属フード12575IUFOOを着けている。
Comparison
ここでは、テレ・エルマリート-90mmf2.8で撮ったモノクロ写真と最新のテクノロジーが盛り込まれた現行アポ・ズミクロン-90mmf2.0asphを使い撮影したカラー写真を比較するため載せてみた。
使用B&Wフィルム:Try-X Colorフィルム:ベルビア50
モノクロの写真は絞り解放、シャッター速度1/60秒で撮影。流し撮りしているがシャープで中央部のコントラストも十分である。
サーファーの写真は絞りf4.0、シャッター速度1/1000秒で撮影。さすがアポレンズとアスフェリカルを組み入れた現行モデル、ベルビア50の良さを引き出しているうえ、メリハリがはっきりとしていて力強い描写力を持っている。2枚の花写真は解放絞りを使い撮影した。欠点のない優等生的表現力。アウトフォーカス部分は、現行レンズ特有のストンと落ちるようなボケ方をしている。
私はライカM4使いだし、M6以降でもファインダー倍率0.72倍モデルを好んでいる。ボディのメンテナンスはきちんとできているが、やはり90mmの最短撮影距離1m絞り解放でピントを外さないように撮影するのは神経を使う。そういう理由からも明るさf2.8だけどよく写るテレ・エルマリートで十分なのだ。